目次    
No.1 はじめに No.2 手許の道具 No.3 礼
   
  2006年7月3日

 お茶。正直言うと女性の習い事、花嫁修業の一つというのが第一印象で次に思い浮かぶのはちっぽけな道具に何万円も払うような金持ちの道楽。全く無縁のようにみえるお茶の世界に踏み入れたのは庭を仕事とするようになってから。親方からはお客さんにお茶を点ててもらってまともに飲めないようではみっともないと言われたのがキッカケですが始めてみるとお茶と庭の切っても切れない関係というのがおぼろげながら見えてきます。

 つい最近始めたばかりでたいそうなことは言えませんが月に1回の稽古で教わる事は少なくありません。例えば茶室に飾られる草花、茶室ではあまり派手なもの、匂いの強いものは禁花とされとても地味な草花が床に生けられます。そしてそれは店で買ってくるのではなく露地(茶室のある庭)で摘むことがほとんどです。知らなければ雑草と一緒に抜いてしまいそうな草花の名前を覚えることも庭を仕事としていては怠ることができません。それ以外にも道具の扱い方、掃除の仕方、季節の決まり、、、とにかく稽古の最中でも覚えられない程にたくさんありますがここでは庭師見習いの目からなんとなく遠く感じてしまうお茶の世界を紹介したいと思います。

 
  2006年8月20日

本当に稽古を続けることができるのか、それを確かめるということもあって2ヶ月程毎週日曜日に先生のところをたずねていましたがようやく入会を認められることになりました。お茶を始めるにあたり大体いくらくらいかかるのかというのも気になるところですが、まずは揃えなければならない道具というのがあります。今回はそれらの「これを持っていれば最低お茶を頂く事はできる」という道具を紹介します。

懐紙(かいし)
少し厚めの和紙で男性用のは女性用に比べ少し大きく一帖30枚、常に補給しながら一帖分を常に携帯します。菓子をもらう時に小皿で出されても必ず懐紙の上に移してから頂く、移した時に汚した楊枝はこの懐紙の耳で拭いて返します。手を拭く、小さな物を包むなどひょんな時にさりげなく懐紙を使えるようになれば奥ゆかしくなるとのことです。
懐紙ばさみ
懐紙をそのまま持つのは見苦しいので一帖分を入れておくことのできる布製の袋。楊枝や帛紗もここに入れます。

扇子
扇ぐものでなくあくまでしきたりとして持つものなのでえらく小振りです。床の間、道具、亭主を前に結界を張る役割。扇子は先生から入会祝いとして今年の干支、犬が描かれたものを頂きました。お茶は短いスパンであれ長い周期であれ時間というのを非常に重用視します。この扇子は今年限りしか使えませんがまたこの扇子を使うことができるのは12年後、季節だけではなくもっと大きな節目を感じることができます。

帛紗(ふくさ)
点前の時に使う帛紗と茶碗に添える出し帛紗とがあります。出し帛紗は濃茶の点前に使うので今のところは普通の帛紗、男は紫、女は朱色。寸法は27cm x 28cmと長方形なのは折り畳んだときに端がピッタリ合うようにとの工夫。「帛紗だけは自分でいいものを買いなさい」ということで徳斎の真の塩瀬帛紗というのを買いました。絹の布切れが5400円!徳斎というブランドは千家のある寺之内通に1712年から続く帛紗専門店の屋号で極上の帛紗は8万円にもなります。

作務衣
女性なら和服、男性なら袴が正装ですがいつもの稽古の度に着ていく訳にはいきません。ただほとんど正座で過ごす茶室では長いパンツは突っ張って動きに乱れが出るため坊さんの作業衣である作務衣が標準。袖もあるのでより着物を意識して体を動かすことができます。

道具を揃えていざ稽古、、、とはいかずまずは礼の仕方、襖の開け方、座布団の運び方など稽古以前の礼儀を身につけるところから始まるようです。ただ道具が揃っただけで何となく一端の茶人、というのは言い過ぎですが背筋がピンと伸びて気が引き締まるのは確かです。

 
2006年10月29日

礼に始まり礼に終わる。道とつく全てのものに通じることですが殊更茶道に関しては礼をする回数がそれこそ桁外れに多く、襖の前で礼、掛軸の前で礼、釜の前で礼、、、何度礼をするのか数える気にもなりません。しかしどの礼一つを取ってもおろそかにしてはいけない、どれほど点前が上手でも礼が不格好では全て台無しというか、礼が出来ずにいずれの所作も形になるはずがないとのことで最初の稽古は礼の仕方に始まります。

礼の仕方といえば会社に入り社会人となったその日にマナー研修というのがあり改めて初めて教わったことを覚えていますが全て畳の上で行われるお茶に関しては正座からの礼をみっちり叩き込まれることになります。しかしそうなると礼の以前に正座の仕方から教えて欲しいと思うのが本音のところで、ほぼイスとベッドの生活に慣れてしまった身には何時間も正座をしていられるのは何かコツのようなものがあるはずと思い訊ねるとこればかりは慣れしかないようです。ただ唯一言えるのは体重を偏って足にのせるから痺れるのであって常に重心を移動させながら圧迫、解放を繰り返せば痺れないということのみ、理屈は分かっていても10分が限界、後は慣れに任せるとして体裁としてはとにかく背筋を伸ばしていなくてはならないのは坐禅と同じです。

肝心の礼ですがパターンは真・行・草の3種類です。書でいう真書、行書、草書と同じで最も格式ばった真、もっともくだけた草、その中間の行という意味合いで場に合わせて使い分けます。何が違うのか言えば単純に礼の深さと手の置き方に尽きます。


品のない言葉になってしまいますがいわゆる土下座です。本当に土下座をしては情けないだけなのでお行儀良く、頭を畳に着けることなく深々と礼をします。手は右手と左手の親指同士を、残りの4本の指をしっかり閉じた状態で人差し指同士を接して三角形を作り指の腹を畳に着けます。いくら深く礼をすると言っても尻を浮かせて重心を前にもっていっては様になりません。


真よりやや浅めに礼をしながら手は4本の指先が畳に触れるくらい。正座の際に膝の上にのっている手を浮かせて畳に触れようとすると慌ただしく雑に見えてしまうのでそのまま膝の上を滑らせながら畳まで指を下ろしていくことがコツです。


礼は最も浅く、手は膝の上を少し滑らせる程度。最もよく使う礼のためせっかちになりがちなので実は一番気を遣わなければなりません。

いずれの礼においても忘れてならないのは扇子。稽古の最初の挨拶で取り出すのを忘れていきなり怒られましたが、相手と結界を設けることで先ずはへりくだることが礼の前に必要です。扇子の置き方は扇子の目を上に末を左に。扇子に顔とか肩があるのは知りませんでした。

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